精神分析的精神療法家センターJPS Allied Centre for Psychotherapists

ご挨拶

「JPS」つまり日本精神分析協会は,この文化の中で人の心を扱うからこそ生じた,様々な歴史的課題や文化的困難を乗り越えてきました。そして1990年に入って急速に動き出した国際化の波を受け,できる限り精神分析的であろうとしながらも,特にセッションの頻度をめぐる議論や技法的検討は今も続いており,歴史と文化に根ざす「日本の精神分析的精神療法」の独自性は確実に維持されてきたと言えます。その延長上で,2018年5月のIPAアジア太平洋精神分析カンファレンス東京大会の前後に,以下のような事柄が協会の抱える課題として強く意識されるようになりました。

① 精神療法家の独自組織の必要性:これまでのJPSには,養成される精神療法家の居場所や組織がなく,自分たちの地位向上や内容的充実をはかる組織が必要でしょう。
② 自分たちの行う実践の研究の必要性:あるはずの独自性や,精神分析との共通基盤を研究し,公表していく組織が必要です。
③ 国際的な明確化の課題:日本精神分析協会のような,IPA (国際精神分析学会)に直結する精神分析家の組織で,精神療法家を内部に抱えている組織はないと思われます。これからメンバーが増えることが見込まれ,「JPSに所属する精神療法家」の位置を明確にすべきです。
④ アライドセンターというアイデア:IPAは世界各地の精神分析運動を支援するための連携組織として,アライドセンターを韓国や台湾を含む各国に設置しています。これはIPAの管理下に置かれる組織ですが,この発想を参考にして,私たちJPSが JPS独自のアライドセンターを作りたいと考えるようになりました。

以上のような問題意識を踏まえて,精神療法家と,精神療法に関心のある精神分析家の集う組織として,またその研究機関として,本センター設立が決定されました。JPSは未だ小さな組織であり,多くの組織や委員会を分けて設置し維持する力はないため,JPSの併設組織として,この「日本精神分析協会精神分析的精神療法家センター」は位置づけられました。同時にJPSと JPSインスティチュートは,精神療法家を育てることを依頼されて養成プログラムを提供している存在となりました。自治,独立の意思のある組織をすぐに目指すなら,協会と新組織の関係は「同盟alliance」が合理的だと思いますし,「同盟」は精神分析的関係を表す象徴的な言葉ですが,私たちは「併設」という表現をとるに至りました。同じ敷地に建て増しをするというイメージですが,この定義で,経験のある精神療法家はスーパービジョンは担当できますが,訓練セラピストにはまだならないという移行的状態でスタートし,やがてこのままメンバーが増えて内容が充実すれば,自分で自分のことがさらに決定できるようになり,やがては自立することが期待されます。
このように重要な過去と展望があり,皆様のご理解とご協力を必要としている若い組織ですので,どうかこれからも宜しくお願いいたします。

北山 修

精神分析的精神療法家センター