協会についてAbout Us
ご挨拶
日本精神分析協会会長 古賀靖彦
日本精神分析協会The Japan Psychoanalytic Society(JPS)のホームページをご訪問いただき、ありがとうございます。
藤山直樹前会長の後継として、私が本協会の会長を2025年6月から3年間務めさせていただくことになりました。よって、ここにご挨拶を申し上げます。
精神分析は、ジークムント・フロイトSigmund Freudによって19世紀末から20世紀初頭にかけて創始された、こころを理解する方法であり、理論であり、治療法です。そして、歴史を積み重ねて現在に至るまでに、ヨーロッパ、北米、南米の3つの地域において大きな発展を遂げています。アジアにおいても近年大きな展開を見るようになり、2024年には第4地域の形成を目指して、アジア・太平洋精神分析連盟Asia Pacific Psychoanalytic Confederation (APPC)が設立されました。
私たち日本精神分析協会は、1910年にジークムント・フロイトによって創設された国際精神分析学会International Psychoanalytic Association (IPA) に加盟する精神分析家の集団で、1955 年に古澤平作によって創設されました。創設以来、本協会は、日本における精神分析の発展に貢献してまいりました。
私たちはまず、精神分析を次世代に引き継ぐことを重要な任務と考え、精神分析家の育成に取り組んでいます。その遂行機関としての精神分析インスティテュートを運営し、IPAの定める国際的な基準に則った訓練を提供しています。精神分析インスティテュートは東京と福岡に支部を持っています。なお、私たちは、多様な臨床領域への対応を目指して、2019年に「精神分析的精神療法家センター」を設立し、本協会独自の基準に則った精神分析的精神療法家の育成にも取り組んでいます。
また私たちは、国内外において学術活動をおこなっています。国内では、従来クローズドで開催していた学術集会を、2024年から規模を大きくしてオープンで開催するようにいたしました。国際的には、IPAが主催するコングレスにおける発表や国際精神分析誌への掲載を始めとし、「IPA アジア・太平洋精神分析カンファレンス 東京大会」(2018)をホスト団体としてIPAとともに運営するなど、IPAや中国、韓国、台湾、インド、オーストラリアのアジア・太平洋地域の諸団体と協力してカンファレンスや学術会議を継続的に開催しています。そして、このような学術活動に基づき、わが国の精神分析を世界に発信すべく、英語学術論文誌“The Journal of The Japan Psychoanalytic Society”を電子ジャーナルとして毎年刊行しています。
私たちはさらに、精神分析がわが国に根づき発展していくことを目指す活動をおこなっています。その一つには、日本精神分析学会や小寺記念精神分析研究財団などの精神分析と関連する諸団体との協力関係の維持・促進があります。また、市民講座のような企画を開催したり、本協会に所属する臨床家の啓蒙的な出版の奨励をしたりもしています。
現在の世界情勢は、国際秩序の不安定化、経済格差の拡大、資源・エネルギー・食料の需給逼迫、地球温暖化、自然災害、生物多様性の喪失など、様々な課題が複合的に絡み合って、ますます不確実で不安に満ちた日常を作り出しています。このような状況においてこそ、本協会は、厳しい訓練を受けた専門家集団として、希望を失うことなく、皆様のこころのお役に立てるように努力してまいる所存ですので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。